【徹底解説】教育資金の一括贈与に係る非課税制度について
本日は、【徹底解説】教育資金の一括贈与に係る非課税制度について、お話をさせていただきたいと思います。
さてあなたは、「相続税」についてどのくらいご存じでしょうか?
あなたが亡くなった後、配偶者、子供・孫に財産を譲るときにかかる税金が、「相続税」です。
相続税の税率は、受け取る金額によって変動しますが、
1千万円以下なら10%。
3千万円以下までは15%
1億円以下は30%と累進課税で上がっていきます!
しかし、相続税の対策については、何もしていない人、多くありませんか?
きっと、
「我が家には税金を払うほど、財産なんて無いよ」と思っている方が多いのではないでしょうか。
実はこの相続税を軽く見ていると、ご両親や親戚が亡くなった後、
支払いで大変なことになってしまいます。
そこで身近な存在だけど、意外と知らない“相続税”について、まず説明させていただきます。
1 そもそも相続税とは?
映画やドラマなどで大富豪が亡くなり、でーんと出てくる札束の山。
きっと多くの人が「遺産相続」と聞いてイメージすると思います。
つまり、企業の社長とか、大富豪しか関係ないと思うのは、このせいではないですか?
しかし私たちが相続する財産は、個人の預貯金をはじめ、生命保険。家屋・土地などの不動産から
株式、借金、ローンの支払いまでを含めて指します。
2 相続税の税率は?
相続税の税率は相続する金額によって異なります。
1,000万円までは10%、3,000万円までで15%。5,000万円以下で20%となっており
、たとえ100万円の遺産を相続しても10%の相続税が発生します。
たとえば亡くなった人の預貯金や現金が100万円に届かなくても、
名義となっている土地、建物、自動車から株券などの有価証券、
宝石、貸付金から保険金、著作権なども相続税の対象になるそうです。
多くの人が納税で困るのは、土地や自動車など現金化しないと納付できないものだとされています。
現金ではない土地の場合、所有している土地の路線価から計算されます。
路線価とは年に一度、新聞などで公開される価格です。
○○市××町3万円など、地名と価格の一覧を新聞で目にしたことありませんか?
毎年7月1日の新聞に公開されているので、気になる方はぜひ目を通してください。その価格は道路に面した1平方メートルの評価額です。
ですから、相続の際は、その年の評価額で土地は80%、建物は70%で計算されるため、特に相続の際、大きな負担となります。ちなみに相続で土地や家屋など分割できない財産は、評価額を等分して他の相続者に分配します。
また実際に建物の経年劣化などが相続の評価額に大きくかかわるため、不動産査定業者に依頼することも有益です。
3 【本題】教育資金の贈与の特例とは?
正式には、「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」という名称です。
要するに、今すぐに学費など教育に関して祖父母などが贈与する資金のことを指します。
基本的に教育費は祖父母など親以外の親族などが渡しても、使いきれる額であれば贈与税の対象外です。しかし孫が大学卒業するまでの資金などを一括に渡し、少しずつ切り崩すような使い方は贈与税の対象となります。
高齢者の財産を次世代に移し、教育・人材育成などに活用してもらうことを目的としています。
ちなみに「特例」とは、法律の改正と違い、時限的な制度です。元々は平成31年3月31日まででしたが、2度の税制改正により令和5年3月31日まで適用期限が延長されています。
特例で注目すべきポイントは「1人につき1500万円までは一括贈与でも贈与税がかからない」という点です。そして一括贈与とは孫に1500万円を一度に渡すのではなく、限度額とされる1500万円までなら分割であっても課税対象外となります。
教育資金として認められるのは、入学金や授業料など学校にまつわるものはもちろん、
在学証明書などの手数料、学用品の購入や修学旅行、給食費、
さらに野球、サッカーなどのユニフォーム購入、施設使用料など幅広く使用できるそうです。
スイミングスクール。ピアノ教室、絵画教室などの月謝まで含まれます。
特に語学をはじめ建築、絵画を学ぶ場合は海外留学をする場合もあり、膨大な費用が必要となります。また私立大学、医療系など専門制大学、学校などの進学を希望するお孫さんがいらっしゃる場合などに有効だと考えられます。
(参考)文部科学省HP
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置:文部科学省 (mext.go.jp)
4 贈与の方法について
税金などの控除、減免措置などを受けるには費用を税務署に証明しなければいけません。
家でおじいちゃんが、「これを教育費に使いなさい」と言って1,500万円を渡したから、
教育資金の特例とはなりません。
この特例制度を利用するには、金融機関に教育資金口座を開設し、「教育資金非課税申告書」を提出する必要があります。
具体的な方法については、次のとおりです。
(1)教育資金を孫へ贈与する場合
Ⅰ 祖父母と孫の間で、贈与契約書を交わす。
Ⅱ 孫名義で金融機関に「教育資金口座」を開設。
Ⅲ 口座を開設した金融機関に「教育資金非課税申告書」を提出。申告書は金融機関が税務署に提出します。
Ⅳ 祖父母が口座へ教育資金を入金する。
(2)学校等へ教育資金の支払う場合
Ⅰ 授業料は孫が払い、領収書を受け取る。
Ⅱ 開設した金融機関へ領収書を提出し、口座からお金を引き出す。
(資金を使うたびに領収証を提出する必要があるため、きちんと保管しておいてください!)
なお、教育資金の一括贈与を特例制度で受け取った場合、孫が30歳の誕生日までに使いきれなかった場合には残金に贈与税が課税されますので、御注意ください。
5 贈与に関する注意点
(1)残金に対する課税
教育資金贈与として受け取った金額が使いきれなかった場合、贈与税の対象になる場合があります。
また、教育の目的に限定した贈与への非課税なので、塾やスポーツ、文化活動のレッスン以外に使用することは認められていません。
また残金を生活費や遊興費などに転用することはできません。生活スタイルが千差万別で、必要な経費に幅ができて課税範囲は異なってしまうからです。
また前項で述べた通り、申告には領収書が必要となり、金融機関へ提出する必要があります。
チェック・保管されるので、余ったからといって無理に使い切らないように御注意ください。
(2)領収書等の提出
教育費を受け取る専用口座から自由にお金を引き出すことはできますが、決められている期間に領収書、またはそれと同じ書類を金融機関に提出する必要があります。
使用目的と金額をその都度金融機関へ報告するのは手間がかかりますが、
特例の対象外になってしまうので、気を付けましょう。
(3)教育資金以外への使用
特に気を付けないといけないのは、こちらの線引きがあいまいになって教育費以外へ使用してしまうことです。教育と関係ない支出は、その年にさかのぼって贈与税の対象になり、一括納付を求められるため、御注意ください。
(4)相続税の発生事案
教育資金として贈与されていても、贈与した人が死亡して3年以内に教育資金として新規口座の開設や追加された場合、信託により管理されている残金が相続税の対象となります。
この場合“贈与税の対象にはならない”ことに、御注意ください。
6 その他
(1)110万円までの贈与は課税されない。
1年間の贈与が110万円を超えない場合、基礎控除で課税されません。
お年玉やお小遣いのほか、月に数万円程度なら教育費、生活費の援助としてお金を渡すことで財産を次の世代に渡すのも手段として有効です。
(2)自動車学校・教習所には使えるのか?
結論を先にお伝えすると、自動車学校・教習所にかかる経費は、本制度の対象となります!
今や車は一人一台。免許を持って当たり前となっていますが、免許の取得にはかなりの費用が掛かります。
就職に有利に働くことから、高校卒業前後に免許を取得することがかなり多いですがその費用は平均で、30万円程度とされています。
入学金のほか交通費、予約していた実技教習を自身の都合で受けられない場合のキャンセル料。さらに追加講習、追加受験料などと自動車学校にかかる費用は様々です。
また規定の講習として学科26時間、技能がATの場合31時間、MT34時間と決められています。この1時間に講習費が必要となるため、全国平均でAT限定の場合287,142円、MTは303,902円となっています(出典:グーマガジン2019年5月5日掲載)。
(3)語学教育に関してどこまで使えるのか?
グローバルで活躍する人間になって欲しいと海外留学したり、また最近では日本にある外国人学校をあえて選ぶ家庭も増えています。
実は「学校教育法」では幼稚園、小中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(養護学校)、高等専門学校、大学。大学院、専修学校、各種学校が「学校」と定義されています。
厳密にいうと外国人学校、インターナショナルスクール。また海外にある日本人学校などは、法律上「学校」ではありません。
留学については留学地までの渡航費をはじめ入学、転入。編入に必要な交通費も対象となります。しかし、その国の幼稚園、小学校。中学校などに相当する学校、または文部科学大臣が指定する日本人学校などが対象です。
ただし滞在費、通学をしないホームステイ、海外ボランティア、インターンシップなどは対象外なので、御注意ください。
一方で、法律では学校とされていないインターナショナルスクール、その他諸外国が設置する教育施設(アメリカンスクール、韓国人学校など)においても対象となります。
(4)通信教育でも対象?
ユーキャンなど豊富な資格の勉強ができる通信教育なども、「学校等以外」に判断されるため上限500万円までは非課税の対象となります。
ただし提供先から
・支払日付
・金額
・支払内容
・支払者
・支払先氏名
・支払先住所
が記載されている領収証が必要となるので、絶対添付を忘れないでください。
(5)スポーツジムの費用は?
スポーツジムにかかる費用は、インストラクターから指導を受ける、レッスンに関するものは対象となります。
しかしスポーツクラブの機材でトレーニングしたり、プールで泳ぐなど「施設利用料」は贈与の対象とはなりません。
(6)年齢について
教育資金贈与と聞いて、高校・大学卒業の22歳が上限と思っている方はいないでしょうか?
しかし上述したように教習所や語学留学、通信教育。スポーツジムなどに関しては年齢制限ありません。そこで、この制度にはちゃんと使い切る年齢の上限が30歳と設定されています。
30歳を迎えると残金は相続税として課税対象となり、また贈与して信託口座を開設すると他にまわすことができません。口座から引き出すことはできますが、教育関連でない場合、贈与税の対象となるため十分気を付けてください。
教育資金贈与は以下を目的に使うことができます
- 学校教育に関するもの
幼稚園、認定こども園、保育所から大学・専門学校までにかかる費用
- 塾・スポーツ教室。文化活動など
- 自動車学校・免許取得
- 資格取得のための学習
12 まとめ
以上となります。
教育資金贈与に関しては非常に細かく分かれているため、同じ習い事であっても認められるものと認められないものがあり、また特例による緩和条件なので、いつ範囲が狭まってしまうか全く分かりません。
現行法の特例は、2023年(令和5年)3月31日まで適用される予定です。
現行法の特例は、2023年(令和5年)3月31日まで適用される予定となっておりますので、御注意ください。
また、個々の財産状況では使い切れないと残額に贈与税がかかるなど、必ず得する制度とは言い切れないため、ご利用の際には税理士などに相談するといいのではないでしょうか。
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